動物の中医学療法

動物の中医学療法

動物の中医学療法(鍼灸)

中医学療法とは何か

西洋医学では病気を診断するときに患部に着目して症状やデータから病名を診断しますが、中医学では生体を一つのまとまりと考え、各臓器から精神まで密接につながっていて全ての調和がとれている状態が健康であり、それが崩れている状態を病と考えます。中医学ではその病の状態を鍼灸や推拿(マッサージ)、漢方や薬膳などを用いてバランスを整えることが治療になります。各臓器は経絡でつながっていると考えられ、その経絡上にある経穴がいわゆるツボになります。それぞれの経絡が各臓器に対応し、病があるとその経穴に痛みなどが現れます。鍼灸ではその経穴に鍼や灸をすることで痛みをとりバランスを整えます。そうすることで体の持つ治癒力を高め、病から健康な状態に近づけます。(実際には脈診などの診断法を用いて病を弁証し、治療を組み立てていくので複雑なのですが簡略化して書いています。)

西洋医学、中医学とも別々に良い部分がありますので、近年では統合医療として併用されることも多くなってきました。西洋医学の治療は即効性があったり効き目が強いことがありますがその分副作用が問題になることがあります。鍼灸治療は副作用や苦痛が少なく、治療によって痛みがとれたり体が楽になることが特徴です。

当院では日本獣医中医薬学院の一級中獣医師資格を持つ獣医師が治療をします。この学院では中医の名医、故・温雪風博士の考案した3-E針法に基づいた診断・治療を勧めています。鍼灸には様々な流派があり、中には痛みや苦痛を伴う治療を行うところもあります。3-E針法では最小限の治療でなるべく苦痛を与えずしっかり効果を出すことを主眼としています。温雪風博士の言葉に「病人は、すでに病に苦しめられています。さらに苦しめるようなことをしてはいけません。患者さんが、クリニックのドアを開けて帰られるとき、笑顔で帰られるようでなければいけません」という言葉があります。これが実践できるように努力しています。

鍼灸が効果を発揮する病気・症状

中医学の守備範囲は全ての病に及びますが、鍼灸治療では効果が出やすい病気と出にくい病気があります。痛みには即効性がありますし、見た目に元気になるので効き目がわかりやすいです。体が弱っているときに補う治療も効果が出やすいです。ですから高齢犬や慢性疾患の治療には向いていると思います。急性の感染症や自己免疫疾患など、使う薬が確立している病気は西洋医学の方がいいと思います。
当院で治療している症例は腰痛や足の痛みの子が多いです。その他に慢性腎不全の子や、胃捻転の手術の後のケアで通院している子もいます。

鍼灸を受けるまでの流れ

当院では基本的にご希望がなければ通常の診療を行っています。腰痛など鍼灸治療が効果が出やすい病ではこちらからご提案することもあります。鍼灸治療をご希望の場合はご予約の時にお伝えいただければと思います。

鍼灸治療を行うときは四診を行い全体の様子や舌の色、脈、体の痛みなどを診ます。その診断結果に基づき鍼灸や推拿を行います。処置の時間は10分くらいです。必要に応じて漢方薬を処方することもあります。薬膳もご紹介できますのでご興味のある方はお問い合わせください。