猫のお薬の飲ませ方について

猫のお薬の飲ませ方について

錠剤・カプセルの投薬方法

錠剤やカプセルはキャットフードに混ぜて飲ませることは困難です。たとえウェットフードに混ぜたとしても多くの猫が錠剤だけ避けて食べてしまうと思います。また、顔を保定されることを嫌がる猫の場合(特に口内炎や歯肉炎、頭部外傷、口腔内腫瘍などの疾患)は投薬困難になります。確実に投薬するために以下の方法を参考にしてみてください

実際の投与法

通常はこの方法で行う

1. 猫の頭部を手の平で包むように保定する
2. 頬骨をしっかりと指で押さえる
3. 人差し指と親指で錠剤・カプセルを保持する
4. 中指で切歯を引っ掛けるようにして口を大きく開かせる
5. 喉の奥に落とす

頬骨をしっかり押さえる

中指で切指を引っ掛けるようにして口を大きく開かせる

口を開くことが難しい場合

1. ピルガンなどの投薬補助器具に錠剤・カプセルを入れる
2. 猫の頭部を手の平で包むように保定する
3. 頬骨をしっかり指で押さえる
4. 犬歯と臼歯の間の隙間から滑り込ませる
5. 喉の奥に落とす
6. シリンジなどを利用して水を飲ませる、もしくは食事を食べさせる

苦味が強い薬の場合

1. 流動食を詰めたカテーテルチップシリンジの先に錠剤・カプセルを入れる 2. 猫の頭部を手の平で包むように保定する
3. 頬骨をしっかり指で押さえる
4. 犬歯と臼歯の間の隙間から滑り込ませる
5. 喉の奥に流動食ごと入れる

シリンジの先に錠剤・カプセルを入れる犬歯と自白の間の隙間から滑り込ませる喉の奥に流動食ごと入れる。可能であればそのまま流動食を食べさせる

犬歯と臼歯の間の隙間から滑り込ませる

喉の奥に流動食ごと入れる可能であればそのまま流動食を食べさせる

錠剤・カプセル投薬時の注意点

猫に錠剤・カプセルを投与した後には、必ず水を飲ませるもしくは、食事を食べさせるようにして下さい。なぜなら、錠剤をそのまま投与しても、直ぐには胃まで到達しません。錠剤をそのまま飲ませただけでは投薬5分後でも60%の猫が食道に停滞したままだったという報告があります。飲ませた錠剤・カプセルが食道に張り付かないようにするためにも、投薬後は5ml以上の水を飲ませるか、食事を食べさせることをお勧めします。

粉薬の投薬法

実際の投与法

水に溶かしてシリンジで投与

1. 少量(0.5-1.0ml)の水で溶く(耐水性の分包紙であればその中で溶くと無駄が少ないです)
2. 猫の頭部を平で包むように保定する
3. 頬骨をしっかり指で押さえる
4. シリンジを犬歯と臼歯の間の隙間から滑り込ませる
5. 喉の奥にゆっくり流し入れる

少量の水で粉薬を溶かし、シリンジで吸います。

ウェットタイプのフードに混ぜる

1. 苦味が少ない薬であれば混ぜられます
2. 体や口を触られることを嫌がる猫では有効です
3. 一食分すべてに混ぜると残してしまった場合、薬も残ってしまいます
4. 一口大のウェットフードに混ぜて
5. 空腹時に与えることで薬を全て投与できることが多いです

投薬補助剤を使用する

1. 投薬補助剤は好みがあるのでいくつか用意しておくとよいです
2. 食事制限がなければマヨネーズやバニラアイスクリームでも代用可能です

当院で取り扱いがないものであっても、お取り寄せ可能な場合がございます。お気軽にご相談ください。

空のカプセルに入れる

1. 空のカプセルに入れることで苦味がある粉剤も投与できるようになります
2. 投与薬は前述の「A錠剤・カプセルの投与」を参考にしてください

オブラートで包む

1. 包み方が緩いと口の中でほどけてしまうので注意が必要です
2. 小さく包んだ方が飲ませやすいです
3. 投与薬は前述の「A錠剤・カプセルの投与」を参考にしてください

液剤の投薬法

錠剤を投与する場合は猫の顔を強く保定して大きな口を開けなければなりませんが、液剤はそこまで強く掴まなくてもすみます。シリンジで直接与えられることが多いですが、少量のウェットフードに混ぜて与えることもできます。

実際の投与法

シリンジで投与

1. 猫の頭部を手のひらで包むように保定する
2. 頬骨をしっかり指で押さえる
3. シリンジを犬歯と臼歯の間の隙間から滑り込ませる
4. 喉の奥にゆっくり流し入れる

ウェットタイプのフードに混ぜる

1. ウェットタイプのフードに混ぜる
2. 体や口を触られることを嫌がる猫では有効です
3. 一食分すべてに混ぜると残してしまった場合、薬も残ってしまいます
4. 一口大のウェットフードに混ぜて空腹時に与えることで薬をすべて投与できることが多いです

液剤の投薬時の注意点

錠剤であれば1錠飲ませ直後に口から吐き出してしまった場合はもう1度飲ませることができます。しかし液剤は口から出してしまっても全量出しているのか、それとも半量なのかを判断することができません。追加で投与すると過量投与になってしまう可能性があるため、吐き出しても追加で飲ませないようにしてください。

猫によって得意な剤型・方法、苦手な剤型・方法があります。薬の剤型や飲ませ方にこだわらずに猫が得意な方法を見つけていく必要があります。うまく投与できない場合などございましたら、お気軽に当院スタッフまでご相談ください。