犬は本能的に物を噛んだり、食べ物を探したりします。これは生存本能の一部ですが、家庭環境では玩具、ゴム製品、骨、洗剤、さらには電池など、誤って飲み込むと重大な健康問題を引き起こす可能性のある物が数多く存在します。特に幼い犬や探索好きな犬は誤飲のリスクが高く、飼い主としては日常的な監視と予防が必要となります。

誤飲した犬は体調を崩すことが多く、その症状には嘔吐、下痢、元気がない、食事を拒む、頻繁に水を飲む、異常な呼吸、または痛みを示す行動（鳴き声や攻撃的な行動）などがあります。これらの症状が観察された場合は、すぐに動物病院へ連絡し、専門的なアドバイスを求めるべきです。

動物病院ではまずレントゲンや超音波検査で誤飲した物体の位置や大きさを確認します。小さな異物であれば、催吐処置や内視鏡による手術で除去することが可能です。しかし、大きな異物や尖った物、または腸に損傷を引き起こす可能性のある物については、開腹手術が必要となることもあります。どちらの手術もリスクを伴いますが、専門的な手術を行うことで犬の命を救うことが可能です。

誤飲を防ぐためには、家庭環境の安全を確保することが重要です。飼い主ができることは、玩具は大きさと素材に注意して選び、危険なものは犬の手の届かないところに保管し、食事は適切に管理することなどです。また、散歩中に犬が何かを口に入れようとしたらすぐに止めるようにしましょう。

犬の誤飲は、時として命にかかわる深刻な問題を引き起こす可能性があります。しかし、飼い主が適切な予防策を取り、早期に症状を見つけてすぐに対応すれば、犬の健康を守ることが可能です。愛犬の安全のため、私たち飼い主が日々注意を払うことが何よりも重要です。

玩具の小部品

犬用のおもちゃは基本的に安全な材質と設計がなされていますが、人間用の玩具や壊れた犬のおもちゃから取れた小部品は、犬が誤って飲み込むと窒息や腸閉塞を引き起こす可能性があります。

骨

特に調理済みの骨は危険で、犬が噛むと鋭利な破片になります。これらは食道や胃腸を傷つける可能性があります。

ゴム製品

ゴム製の玩具やバルーンなどは噛むと小さくなり、犬が飲み込むリスクがあります。これらは消化管を閉塞する可能性があります。

家庭用洗剤や薬品

これらは犬が誤って飲み込むと中毒を引き起こす可能性があります。洗剤や薬品は犬の届かない場所に保管してください。洗剤や柔軟剤は特に危険です。また、人間の医薬品も中毒を起こします。風邪薬は特に危険です。

食物の残り物

ブドウ、チョコレート、玉ねぎ、にんにくなど、人間にとっては無害な食品でも犬にとっては毒となるものがあります。とうもろこしの芯や果物の種（梅や桃など）、ナッツ類は詰まりやすく注意が必要です。

電池

特に小型のボタン電池は飲み込まれやすく、内部の化学物質が漏れ出すと内臓に重大な損傷を与える可能性があります。

ひも・糸やリボン

長いひも・糸やリボンは、犬が飲み込むと「ひも状異物」による胃腸の閉塞を引き起こす可能性があります。場合によっては腸が切れてしまい命にかかわることがあります。また、布などもすべりが悪く、腸閉塞を起こすことがあります。