犬の予防医療

犬の予防医療

予防医療

ノミ・マダニ対策

犬に寄生するノミやマダニは様々な種類がいます。
ノミの大きさは約1~2mmで、13℃以上あれば繁殖できると言われています。夏場は動きが活性化する時ですが、それ以外にも冬場の散歩などで犬にくっついてしまうと、室内は温かいため、家の中で寄生→繁殖を繰り返します。一度室内で繁殖すれば駆除は大変です。
ノミに寄生されると、犬は皮膚の痒みにより足で体を掻いたり、背中を地面にこすりつけたりします。ノミアレルギーを持っている犬は、ノミの唾液がアレルゲンとなり、ノミ1匹に寄生されただけでも強い痒みを引き起こします。また、ノミが病原体の媒介役となり、食欲不振、体重減少、下痢や嘔吐などを起こすこともあります。

マダニは犬や猫、野生動物などから吸血し、成長していきます。草むらを好むので、山や林などに多いですが、都心の公園にも生息しています。知らないうちに寄生していた、ということも少なくありません。
マダニはノミ同様、細菌やウイルスなどの媒介役にもなり、さまざまな病気を引き起こす可能性があります。近年ではダニ媒介性脳炎や重症熱性血小板減少症候群といった重病を引き起こすウイルスをマダニが媒介することが問題になっています。これらのウイルスは人獣共通感染症で、動物のマダニを駆除することが重要になります。

皮膚に液体を滴下するタイプのノミ・マダニ駆除薬
フロントライン
フィプロスポット
マイフリーガード
プラクティック
フォートレオン

飲ませるタイプのノミ・マダニ駆除薬
ネクスガード
コンフォティス
クレデリオ
シンパリカ
ブラベクト

どれも1ヶ月の効果です。(ブラベクトのみ3カ月の効果)

フィラリア予防

フィラリア症(犬糸状虫症)は、蚊の媒介によって白い糸状の寄生虫が体内に感染し、血液の慢性的循環障害や呼吸器の症状を引き起こします。犬の場合、薬による予防はほぼ100%可能ですが、予防薬の効果は犬の体内に侵入した感染幼虫が筋肉などで発育している間に駆除するものであり、感染そのものを防ぐものではありません。日本では全国で蚊が発生することもあり、定期的な投薬が欠かせません。

飲ませるタイプのフィラリア駆除薬
モキシデック(フィラリア)
ミルベマイシン(フィラリア+回虫+鈎虫)
カルドメック(フィラリア+回虫+鈎虫)
イベルメック(フィラリア+回虫+鈎虫)
システック(フィラリア+回虫+鈎虫+鞭虫)
パノラミス(フィラリア+回虫+鈎虫+鞭虫+ノミ・マダニ)
ネクスガードスペクトラ(フィラリア+回虫+鈎虫+鞭虫+ノミ・マダニ)

皮膚に液体を滴下するタイプのフィラリア駆除薬
レボリューション(フィラリア+回虫+ノミ)
アドボケート(フィラリア+ノミ・マダニ)

どれも1カ月の効果です。
フィラリア予防が必要な5月から12月まで月に1回投与します。

混合ワクチン接種

・子犬の場合
生後2ヶ月齢頃までの子犬は母親ゆずりの免疫(移行抗体)を持っている場合があります。この免疫を持っている間は、病気にかかりにくいという利点がありますが、同時に、この間はワクチン接種をしても効果を得にくい時期でもあります。子犬のワクチン接種は、この移行抗体がなくなる時期を待っておこなわなければなりませんが、その時期には子犬によって個体差がありますので、2〜3回のワクチン接種をする必要があります。

・成犬の場合
初めてワクチン接種をする場合は4週間隔で2回の接種が必要ですが、以降は毎年1回の接種で感染あるいは発病を防ぐために必要な免疫が得られます。

  • 5種混合ワクチン
    犬ジステンパー、パルボアデノ2型、伝染性肝炎、パラインフルエンザウイルス
  • 6種混合ワクチン
    犬ジステンパー、パルボ、アデノ2型、伝染性肝炎、パラインフルエンザ、コロナウイルス
  • 7種混合ワクチン
    犬ジステンパー、パルボ、アデノ2型、伝染性肝炎、パラインフルエンザ、レプトスピラ症(2種)
  • 8種混合ワクチン
    犬ジステンパー、パルボ、アデノ2型、伝染性肝炎、パラインフルエンザ、レプトスピラ症(3種)
  • 9種混合ワクチン
    犬ジステンパー、パルボ、アデノ2型、伝染性肝炎、パラインフルエンザ、コロナウイルス、レプトスピラ症(3種)

狂犬病予防注射

狂犬病は犬だけでなく、人を含む全ての哺乳類に感染する恐ろしい感染症です。発症すると死亡率はほぼ100%で、現在の医療をもってしても治療法は確率されていません。
日本では法律で生後91日齢以上の犬は狂犬病予防注射が義務付けられており、動物において昭和32年以降発症例はありませんが、近隣諸国では狂犬病が蔓延しており、いつ国内に侵入してくるか分かりません。必ず予防注射を受けさせるようにしてください。

狂犬病予防法では年度に1回の接種が義務付けられています。市区町村に飼い犬登録すると毎年4月に保健所から通知が届きますので、その通知を持って動物病院か集合注射会場で予防注射を受けてください。動物病院では1年中受け付けています。

健康診断

元々犬は野生で生活していたこともあり、体の不調を隠す傾向にあります。また、直接的に身体上の異変を飼い主様に伝えることはできませんから、飼い主様が異変に気づいた時にはすでに重症化していた、ということも少なくありません。
定期的な健康診断は病気の早期発見に役立つ以外にも、その子の正常値を測る貴重な機会となります。